
消費者が関わる問題の最新情報などが掲載された冊子「国民生活」
「独立行政法人 国民生活センター」が発行する本でもある。
あなたも一度は目を通した経験があるかもしれない。あるいは愛読者かも。
私もこの本が好きで、たまにだが目を通している。
最近も久しぶりに最新版から目を通したわけで。ついでに昨年2023年度に出版されたものまで読んでみたのだが、ある記事に、ちょっと驚いた。
23年度の12月に発行された「国民生活」に掲載されていた記事で、今なお巷で人気のココナッツミルクに関する報告が記されていた。オーストリア消費者情報協会(VKI)の調査結果についても報告されていた。
2022年頃、私はココナッツミルクにハマっていて、缶入りも紙パック入りも、何度も利用したから、この記事をスルーできなかった。
あなたもココナッツミルク好きで、「特に缶入りはしょっちゅう飲む!」なんて場合は、ぜひ今回の記事に目を通してほしい。
目次
VKIの調査で判明したもの
2023年12月号の「国民生活」には、以下のように書かれてあった。
容器の素材によって結果に差が出たのが、ビスフェノールAの検出テストである。缶入りの全商品から、健康に悪影響を及ぼす同物質が検出された一方で、紙パック入り商品からはまったく検出されなかったという。同物質は感の内側のコーティングに使われるためである。
引用元:独立行政法人 国民生活センター(編集・発行)「国民生活12」『缶入りココナッツミルクのビスフェノールAに注意』2023年12月号【No.136】23ページ
つまりVKIの調査により、缶入りココナッツミルクの全てから、健康に悪影響を及ぼすビスフェノールAという成分が検出されたわけで、先に書いたとおり、私は2022年頃、缶入りココナッツミルクを何度も口にした。
ひょっとしたら20缶くらい空けたかもしれない。その缶には確か、「BPAフリー」とは書かれていなかった。
だから少なくとも一度はビスフェノールAを口にしたはずだ。
あなたも缶入りココナッツミルク好きなら、気づかないうちにビスフェノールAを摂取しているかもしれない。
ビスフェノールAの危険性とは?
「健康に悪影響を及ぼす物質」とされるビスフェノールA。
一体、どのくらい危ないのか?
厚生労働省がホームページ上で解説していたので、以下に引用する。
こうした試験研究の中で、動物の胎児や子供が、従来の毒性試験により有害な影響がないとされた量に比べて、極めて低用量(2.4~10μg/kg体重)のビスフェノールAの曝露※を受けると、神経や行動、乳腺や前立腺への影響、思春期早発※等が認められているという報告がされ、米国、カナダ、欧州連合(EU)ではこうした報告を受け、下記Q6で述べるような対応がなされているところです。
引用元:厚生労働省「ビスフェノールAについてのQ&A」(平成22年1月15日更新)
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html(令和6年11月9日閲覧)
要するにビスフェノールAは人間にとって無害とは言えないし、「毒性」を持った物資であると言える。それに子どものような「弱い個体」にとっては微量であれ、心身の健全さが損なわれる程度の毒性を持っている、というわけだ。
ビスフェノールAとは?
あなたが同物質について初めて聞く人なら、「なんでそんな物が缶に使われているの!?」と思ったかもしれない。
残念ながらビスフェノールAの使用は海外はもちろん、日本でも認められていて、この化学物質は現在、様々なものに含まれている。
というのもビスフェノールAはポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂といった身近にあるプラスチックの原料として使用されているからだ。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂は家電や自動車部品などに利用されていて、エポキシ樹脂は電子部品、塗料、食器に使用されている他、飲料缶の内面コーティングのためにも利用されている。
「最悪!」と思ったかもしれないが、ビスフェノールAの利用範囲にはルール(規格)が設けられていて、通常、人体に異常が出ない程度に抑えられている。
厚生労働省のサイトでは、以下のように紹介されている。
ビスフェノールAという化学物質は一部の食品用の容器等の原料に使用されています。飲食物に移行したビスフェノールAによる健康への悪影響を防止するために、これまでの各種の毒性試験に基づいてヒトに毒性が現れないと考えられた量を基に、ポリカーボネート製容器等について、2.5ppm以下※という溶出試験規格※を設けています。
引用元:厚生労働省「ビスフェノールAについてのQ&A」(平成22年1月15日更新)
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html(令和6年11月9日閲覧)
オススメのココナッツミルクは?
法律により、ビスフェノールAはごく微量しかプラスチック容器などには含まれていないわけだけれども、先にお伝えしたとおり、「人体に影響を与えないはずの量(微量)」でも、動物の胎児などには「無害」ではなかったと、VKIの調査により判明。
成人も、何らかの理由から免疫力が著しく落ちたときなどには、ビスフェノールAの毒性に負けてしまう恐れがある。
つまり心身が非常に弱っているとき、缶入りココナッツミルクを頻繁にたくさん飲んでいると、大人でも体調を崩す可能性がある。
弱い人や弱っている人にとっては「添加物不使用。漂白剤も乳化剤も使ってません!」なんて書かれた物を買い漁っていても、「絶対に大丈夫!」とは言えないのだ。
缶入りココナッツミルクが大好きなら、「添加物不使用」で、なおかつ、「BPAフリー」の物を購入しよう。
BPAフリーとはビスフェノールAを含まない製品を指し、缶のどこかに記載されている。
ちなみにVKIの調査により、ココナッツミルクに含まれるココナッツの割合は商品により、大きく差があると判明している。
「少しでも体に良い物を!」と思っているのなら、紙パック入りの有機ココナッツミルクか、缶入りではない有機ココナッツミルクパウダーがオススメだ。
ココナッツミルクは美味しいし、用途が広い!
ビスフェノールAの危険性や毒性をアレコレ語られたせいで、「もうココナッツミルクはやめよう。飲まないでおこう」なんて思ってしまったかもしれない。
ただ「国民生活12」にも書かれてあったように、紙パック入りはビスフェノールA不検出だったし、ココナッツミルクは美味しい。おまけに色々な料理に使える。
カレーに入れたり、お好み焼きに入れたりできるし、フルーツスムージーに混ぜても美味しい。牛乳の代わりにもなる。
それにココナッツミルクは今や手軽に手に入る。
スーパーに置いてある場合もあれば、町の小さな商店に置いてある場合もある。
業務スーパーには大抵、置いてある。
金沢市に住んでいた頃は、業務スーパーで売られていた紙パック入りココナッツミルクにお世話になった。当時は大容量なのに驚くほど安かった。
もちろん、カルディのような輸入食材を販売しているお店でも購入できる。金沢駅近くのカルディでは有機のココナッツミルクが販売されていて、こちらにもお世話になった。
何よりココナッツミルクは、あなたもご存知のとおり栄養満点だ。
安全性や健康にこだわっているのなら、ココナッツミルクを飲んで損はないし、今や紙パック入りのココナッツミルクも、BPAフリーの有機ココナッツミルクも購入できる。
紙パック入りのオーガニック・ココナッツミルクは、まだ主流ではないようだが、今後は数が増えるだろう。
これまでビスフェノールAに無関心だったなら、今後は関心を持ち、気を配って上で、ココナッツミルクを購入してほしい。
購入をやめる必要は、あなたにとっても、きっとない1。
【注記】
- なにせ私は今も昔も元気だから。私は虚弱体質なのに、「BPAフリー」と書かれていない缶入りココナッツミルクをガブガブ飲んでいた頃ですら、体調を崩さなかった。今も元気で千葉を拠点に動き回っている。あなたも恐らく、「BPAフリー」と書かれていない缶入りの製品を、たまに口にする程度なら、今後も体調を崩さない可能性が高い。もちろん、既に体調が悪い場合は缶入りココナッツミルクから紙パック入りの物に移行しよう。 ↩︎
参考文献・サイト:
独立行政法人 国民生活センター(編集・発行)『国民生活12』2023年12月号【No.136】
厚生労働省「ビスフェノールAについてのQ&A」(平成22年1月15日更新)
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html(令和6年11月9日閲覧)
ビスフェノールA安全性研究会オフィシャルサイト:
http://bisphenol-a.gr.jp/archives/117(令和6年11月9日閲覧)