1980年代の値段を知る私にとっては既に縁遠い存在となった物。

それがチョコレート。

あなたは今も食べ続けているのだろうか?

度々、値上げされ、2024年現在は、もう子どもや貧困層には簡単には手を伸ばせない価格になっているけれども、それでも大人気の商品がチョコレートというもので、そのチョコに関する記事のなかに、気になるものを見つけた。

記事の掲載先はCNNと国民生活センターで、どちらもチョコレートの原料である「カカオ」に含まれる重金属に焦点を当てていた。

目次

CR(Consumer Reports)の調査結果

私は幼い頃からチョコレートが大好きで、子供の頃はチョコが使われた製品を頻繁に口にしていた。

スーパーには大抵ある板状のチョコレートはもちろん、チョコレートを含むパン、ケーキ、アイス、ドリンクなど。

成人後も上記のいずれかを時々、口にしていた。

100%カカオにハチミツをかけた物を食事代わりにしていたときもあった。すぐに止めたけど。

そんな私だが、30歳を過ぎてからはチョコレートから遠ざかり、もう何年もカカオ由来の製品を口にしていない。

とはいえ自分にとっても馴染み深い物だから、国民生活センターが発行している「国民生活4」の記事をスルーできなかった。

以下、その記事の引用。

しかし、CRの商品テストでは、28銘柄のうち23銘柄に通常1回に食べる量(1オンス=約30g)の中にカリフォルニア州基準のMADL(最大許容摂取量/日)を超えるカドミウムと鉛のいずれか、または両方が含まれていた。

引用元:独立行政法人 国民生活センター(編集・発行):「国民生活4」『アメリカ ダークチョコレートに含まれる重金属』2023年4月号【No.128】24ページ

カドミウムを多量に口にすると腎機能障害が起こる。鉛は高血圧や神経障害、生殖機能障害など、数々の厄介な病を生み出す。

こういった物がカカオ製品の大半に含まれていたようだ。

カドミウムや鉛が含まれていた理由

食べ物には様々な物質が含まれている。

目に見える物はもちろん、目には見えない物も含まれている。

カドミウムや鉛もそうで、カカオを製造する過程で含まれてしまうようだ。

この点も、「国民生活4」の記事中で詳しく報告されている。

土壌中のカドミウムをカカオの樹が吸収し徐々に種子のカカオ豆に蓄積し、鉛はカカオ豆収穫後に発酵や天日乾燥時、輸送中に大気中の鉛を含む排ガス、有鉛塗料を含むごみ焼却のばい煙、粉塵により汚染されることが明らかになった。

引用元:独立行政法人 国民生活センター(編集・発行):「国民生活4」『アメリカ ダークチョコレートに含まれる重金属』2023年4月号【No.128】24ページ

大気汚染や土壌汚染を他人事にとらえている人は少なくない。

あなたも「日本で購入した物は大丈夫でしょ?」なんて思っていなかっただろうか?

それとも「私は何でも口にしているわけじゃない。食べ物にはこだわっているから」と思っただろうか。

もしあなたがカカオを含むチョコレートを好んで口にしている場合、その「こだわり」は「有害物質を寄せ付けない完璧なバリアー」とは言えない可能性が高い。

現在も状況はあまり変わっていない

あなたが楽観的な人なら、「2023年って去年じゃん。今は状況が改善されているのでは?」と思ったかもしれないが、残念ながら、まだ楽観視してはいけない

2024年現在も、状況はあまり変わっていないからだ。

相変わらずカカオを原料とする食品に鉛やカドミウムが多く含まれていて、この点は「オーガニック」と記載された商品も例外ではない

以下、CNNに掲載されていた記事からの引用。

新たな研究では、オーガニックのダークチョコは農薬などによる汚染の少ない土壌で栽培されているにもかかわらず、含有量が多いという結果が出た。

健康、栄養関連商品のテストを手掛ける米NPO「コンシューマー・ラボ(CL)」が、カカオ分の多いダークチョコ72種類について、鉛とカドミウムの含有量を8年間にわたって測定。栄養学専門誌「フロンティア・イン・ニュートリション」の最新号に発表した。

CLは正確を期し、外部のさまざまな研究所にサンプルを送って測定を依頼。含有量の数字を、連邦当局よりも厳しいカリフォルニア州の基準と照合した。

その結果、商品の43%から基準を超える鉛、35%から基準を越えるカドミウムが、それぞれ検出された。具体的な商品名やメーカーは公表していない。軽金属のヒ素は検出されなかった。

引用元:CNN(2024.08.01 Thu posted at 10:27 JST)
「ダークチョコから有害な重金属を検出 米で新たな研究」
https://www.cnn.co.jp/fringe/35222225.html(令和6年11月16日閲覧)

世の中には今も、「有機」「オーガニック」「自然栽培」などと書かれてあるものは安全、と考えている男女がいる。

だがカカオは「特別な物」でも安全ではないようだ。

日本人と鉛

カドミウムも厄介だが、鉛はもっと厄介かもしれない。

後者はカカオだけでなく野菜や果物、肉や魚介類、それに水などにも含まれているからだ。つまり誰もが毎日、口にする物に混入している。

農林水産省の報告によれば、日本人も鉛を少なからず摂取していて、その量は1970年代よりは低下しているが、それでも2013年の時点でもゼロにはなっていない1

2020年の時点でも日本人は日々、色々な食べ物から鉛を摂取している2

ちなみに農林水産省の調査では、2013年の段階では主に米と野菜から鉛を摂取していた

2024年現在も、日本人は毎日のように、主に米と野菜から鉛を体に放り込み続けているのだろう。

米と野菜を、日本人は相変わらず好んで口にしている。

「粗食バンザイ」の料理評論家も、美味しい物が大好きの人も例外ではない。ダイエット中の男女は恐らく毎日、野菜を口にしているのではないだろうか。

ゆえに日本人は今も毎日せっせと、主に米と野菜から鉛を体に取り込み続けていると思われる。

あなたもそうではないだろうか。

わたしはまさにそうだ。主食は米で、野菜も毎日摂っている。

道路脇で提供されている野菜類も同類

先にお伝えしたとおり、鉛は実に様々なものに含まれている

肉や魚はもちろん、種子類や米、野菜にも含まれている。

さらに化粧品や塗料、蓄電池や水道管などにも含まれている。

つまりほとんど全ての物に鉛は含まれているし、鉛にせよカドミウムにせよ、癌や慢性疾患、生殖器官の異常などを引き起こす可能性がある。

だが鉛もカドミウムも土壌に当たり前のように存在するため、完全な除去は難しい

現在のように土壌・大気汚染が進んだ時代の場合、非常に困難だろう。

世の中には今も昔も、「少しでも安全度が高い物を食べたいのなら、有機食品や無農薬の自然栽培食物を口にすべき」、なんて唱えている人達がいる。

彼らの言うとおり、農薬まみれの食品よりは、有機の物などの方が安全度は高いかもしれないが、その有機食品なども、しょせんは「大気や土壌が汚染される以前の田畑で育った物よりも安全度が高い」、とは決して言えないようだ

あなたは道路脇で販売されている農産物を好んで購入していないだろうか?

もしくは道路や住宅街が近くにある場所にて開かれた市場に足繁く通っていないだろうか?

そのような場所には排気ガスが充満している。

たとえ農家の方から直接、農産物を購入しても、それらも「安全度が高い」とは言えない。

過食は危険すぎる

食べ過ぎ」は大昔からいさめられてきた。

「腹八分目に医者いらず」「満腹が原因の病気は空腹によって治る」「病人に食べさせると、病気を養うことになる。一方食事を与えなければ、病気は早く治る」など。

空腹を礼賛する格言は東洋にも西洋にも存在する。

腹十分目はもちろん、過食も人体に著しい害を与えると、大昔の人も知っていて、満腹・過食をいさめる言葉をたくさん残してくれているのだ。

それなのに飽食の時代の今、あなたもご存知のとおり、「適量」を守らない人は少なくない

私の知っている人達の中にも、食べ過ぎを続けすぎた挙げ句に糖尿病になった人物がいる。その人と知り合ったとき、相手は既に透析治療を毎月、受ける身になっていた3

食べ過ぎれば高い確率で糖尿病や癌のような、非常に厄介な病を患うが、それはカドミウムや鉛といった、人体に有害な重金属を摂り過ぎてしまうからでもあるのだろう。重金属に対する肉体の許容量を超えてしまい、病を患いやすくなるのだろう

長生きしたいなら、何物も食べ過ぎてはいけない。過食はあまりにハイリスクな行為だと知っておかなくてはならない。

鉛もカドミウムも、わずかの摂取に抑えた上で、時々、体中のデトックスを行っていれば、どちらも、それほどの脅威にはならないはずだ。

「食べることが大好き!」な人も、健康寿命を伸ばしたい人も、食事はせいぜい腹八分目にしておこう。国産の有機食品にせよ海外製の美味しい物にせよ、食べ過ぎないようにしておこう。

プチ断食のような、内臓をいたわるデトックスも、時々、行っておこう。

お互い長生きしましょう😀

【注記】

  1. 農林水産省「食品からの鉛の摂取量」:
    https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_pb/exposure.html(令和6年11月17日閲覧) ↩︎
  2. 厚生労働省「食品中の鉛について」:
    https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001031353.pdf ↩︎
  3. この知人の話は以前、記事にしている。詳しく知りたい方はコチラへ。
    夏目漱石の食生活を知ったとき、ある人を思い出した話 ↩︎

参考サイト:

meiji(2022/03/23):「チョコレートの作り方/カカオ豆からカカオニブ、カカオマスに変化する工程も紹介」
https://www.meiji.co.jp/hello-chocolate/column/70/

独立行政法人 国民生活センター(編集・発行):「国民生活4」
https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/wko/wko-202304.pdf

株式会社 三和鍍金(2023/12/26):【金属の特徴】鉛の特徴や用途とは?基礎知識をまとめ!
https://sanwamekki.com/info/column/column_material/lead/

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